体験を通して学ぶ
従来型の研修やセミナーでは,技法の技術を教えることが大半を占めます。講師の技術を真似ることを通して経験を積み,かなり後から施術者の知覚やプレゼンスが重要とわかる,という順を辿ります。イールドの研修はその逆です。まずプレゼンスと言われる抽象的なものを,間合いという具体的な切り口で,肚を通しての中心感覚を養い,それから触れるなどの介入を学ぶという流れです。直感的にワークする,そのとき身体が必要としている変化を引き出すというのは,言うのは簡単ですが,実践できている施術者もそう多くないでしょう。一方,多くの施術者が求め最終的に目指していることで,その具体的なヒントをここでお伝えすることができると考えています。
イールドの技法習得のためのプロセス
まずは、イールドワークを体験しましょう。1日のワークショップを通して、身体に休息しやすい状態と深い呼吸を取り戻すことから。まずはそこから。
Yielding Embodiment® 3シリーズ提供のために
Part 1〜3と3回に分けて、触れる前の在り方、その肚と空間に対する感覚と状態について学びます。イールドの基本的なタッチも併せてご紹介します。
受講費:3日間 x 3回 /各パート x 3
提供単位:Yielding Embodiment® 9単位
受講条件:Yielding Embodimentセッションを3シリーズ受けていること。或いはRolf Movement又はイールドのワークショップの受講。或いはイールダーの紹介。イールドの技法を提供していきたいと考えている方。
次のステップに進む準備として,他の技法と混ぜないイールドの個人セッションを少なくとも計50時間提供することをお勧めします。セッションにチャージするかどうかや,時間枠の長さについては問いません。同じクライアント複数回セッションしてもOKです。
応用コースに進む前に、Yieldersの勉強会に参加したり、モニターセッションを通じて、できるだけ多くの3シリーズの体験を蓄積してください。少なくとも100以上のケーススタディを重ねて、写真データとクライアントからのフィードバックを集めることをお勧めします。基礎3シリーズの経験が、次への応用につながります。
Yielding Embodiment® 8シリーズ提供のために
上記3シリーズの後,さらに身体の内側の空間を広げ,身体と空間との関係性を高め,身体のオーケストラ的共鳴状態を引き出すための,計8シリーズをデザインするためのプログラムです。総論となる4日間のワークショップは必修ですが,その他の各論については,選択的に受講頂けます。基礎コースと合わせて計35単位の取得により,認定トレーニングは一区切りとなります。
受講資格:上記基礎コース修了者
受講費:総論4日間 /8万円
各論3〜4日間/6万〜8万円
必須単位:Yielding Embodiment® 26単位
参加条件:イールドの技法のセッションをシリーズとして提供しようと考えている方
1日ワークショップを教える
Yielding Embodiment®の体験ワークショップを教えるためには,グループを前にイールドのセッションをデモンストレーションするスキルが必要です。1日(7.5時間)体験ワークショップを開催するためには,8シリーズ提供可能な認定イールダーであることが条件となります。イールドを紹介するミニワークショップは,3シリーズ提供可能となった後にご提供ください。
3シリーズを提供するイールダーを養成
8シリーズ提供可能な認定イールダーになった後は,3ないし8シリーズのイールドの技法の提供を通じて経験を積みます。講師を目指す場合は,他の技法との組み合わせではないイールドのセッションの経験が必要となります。それに伴い,3シリーズの基礎コースのアシストを複数回勤めて経験を積むことが求められます。
認定の違いによる提供可能なワーク
ワークショップスケジュール
- Yielding Embodiment® 3 シリーズ 基礎コース9単位 (=9日間)
- Yielding Embodiment® 8 シリーズ 応用コース26単位(計35単位)
- Yieldを組み込んだRolfing 10シリーズ Rolfing10のYieldへの翻訳クラス RM認定10単位取得
- Yieldを組み込んだRolf Movement®Integration 上記を含む30日間Rolf Movement®認定
ワークショップのキャンセル規約
受講料支払後に、御自身の都合により参加不可となった場合、返金はできません。運営に支障が生じますので、速やかにご連絡ください。キャンセル待ちの方を優先して受付ます。それでも枠が開いている場合に、該当される方がいる場合にキャンセルご希望の方が、参加権利を譲渡することは可能です。
単位の取得と管理について
取得単位については、各自でワークショップの日程とテーマの記録を管理してください。同じテーマができるだけ重複しないように単位を取得していただき、合計26単位となった時に申告してください。日程のうち欠席した日は、単位にカウントされません。全日程の参加が可能となる条件と準備が整った段階で、クラスにお申し込みください。ワークショップ以外にメンタリング(個別指導)も1回1単位として認められます(3回迄)。
コーススケジュール
2024年 (←すでに終了したクラス)
イールド基礎研修Part 1
2024年10月12,13,14日(土日月㊗)満席
2024年11月2,3,4日(土日月㊗) 募集中
受講料:62000円(早割53000円 10/4迄のお申し込み)
講師:田畑浩良
3日間を通して、イールドと間合いの基礎を体験的に学びます。
Stable Support System, Integration
基礎となる安定のための支持システム,統合支えは関係性であり,機能的な文節の動きは,関節間の協調の質に左右されます。このクラスでは,主に下肢帯の基本的な支えを軸に,ダイアフラム間の共鳴や連続性をテーマに,テーブルワーク後にどんなサポートをしながら統合に導くかを探求していきます。
Translation of Core sessions into the movement with the Art of Yield
コアセッションへのイールドの応用
このワークショップでは,微細な動きや知覚を使って,体腔の空間的広がりを引き出すために機能的ゴールを達成するための手法を紹介します。変容のために本質的なプラクティショナー側の知覚状態や細胞の持つ原初的な振る舞いを利用した働きかけを紹介します。 変容の準備となる身体全体の応答性を高める安全安心な場を最優先させて上で,身体内の空間的な広がりや脊柱の機能を引き出すための働きかけをご紹介します。
これまでの参加者が体験しているように,繊細かつ微細な身体構造への介入によって,身体構造が統合に向かう変化を体験することになるでしょう。
施術者としての存在,在り方を見直し,それぞれが元々持っている観察力・感性をフルに活用してワークするためのサポートになるクラスにしたいと考えています。
コアの空間 パート1 中心感覚のための骨盤腔
肚の感覚,内臓感覚を感じるためには,骨盤底を含む半ドーム状の真骨盤がテンセグリティとして機能する必要があります。肚の容器が適度な張力の元,下肢からしっかり支えられる状態を引き出すアプローチをご紹介します。ロルフィングのgeneral goalである,骨盤の水平性,G-センターを中心に扱っていきます。
Core Space Part 2 Thoracic cavity for dynamic expression
コアの空間 パート2 動的表現のための胸郭腔
ムーブメントとして,Gプライムは,第二のGとして上肢帯を介しての動的バランスに重要です。二軸が上半身で分化することが,高度な統合状態である,応答性のあるコントララテラルムーブメントにつながります。
Dynamic Support System, Integration
動的な支持システム,統合
支えは関係性であり,機能的な文節の動きは,関節間の協調の質に左右されます。このクラスでは,下肢帯の基本的な支えをベースに,上肢へのつながりを引き出し,どのように統合に導くかを探求していきます。
Seeing centering Hara, Integration with Ma
空間身体学,間,肚,観ること
このワークショップでは,空間との連続性を捉えながら,クライアントとプラクティショナーの配置,位置関係がセッションの場での関係性に大きく影響を与えているか,個々の知覚のパターンが影響を与えるのかを体験していきます。クライアントを観るときの意識や知覚を探求し,どのように観ることが,クライアントのサポートになり,セッションに役立つのかを探求していきます。
イールド体験1日ワークショップ
2024年9月23日
Part 1〜3までの参加により9単位取得後商標使用と3シリーズ提供が可能になります。
※プラクティショナーのスキルのみならず、クライアントのスキルに加え、プラクティショナーとクライアントとの組合せでセッションの質が決まります。
The Art of Yield (Yielding embodiment®)は、様々な身体技法に組み込むことも可能ですが、それ単独のワークとしても深い体験と身体構造にも変容をもたらす強力な技法です。イールドについての詳細は、Rolf Insituteの機関誌に寄稿した記事を参照ください。
上記3つのPartに参加することで、変容のための場をどう誘導するか、施術者の意識の持ち方や在り方の基本を学びます。身体を3次元的に広がりを持たせ、関節間のコーディネイトを容易にして、バランスよく支えられる身体を引き出します。
Part 1では、安全な基盤と呼吸、Part 2では身体の支えの充実、Part3では、身体の空間的広がりを主に扱っていきます。
この技法体系の特徴は、徒手の詳細なテクニックより、施術者の知覚や存在状態を重視し、触れる前、或いは触れた後の重要性を体験的に学んでいきます。この知覚状態に慣れ親しんでくると、人との間合いの取り方や、空間における配置への感受性が研ぎ澄まされ、華道のスキルアップにつながる例もあります。やることは至ってシンプルですがパワフルな効果があります。
参考文献:
ワークショップの体験レポート
米国でのワークショップに参加した同僚ロルファーによるインタビュー記事
Rolf Instituteの教授会での間合いとイールドワークのデモを含む記事
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